農地転用をお考えの方へ〜まずは抑えるべき4つのポイント
農地転用をお考えの方へ
〜まずは抑えるべき4つのポイント〜
田や畑などの農地を宅地や駐車場、太陽光発電用地などに変更し、有効活用したいと考えている方は少なくないのではないでしょうか。
しかし、農地は国民の食生活を支える重要な資源であり、その保護が農地法によって定められています。
農地以外の用途への勝手な変更は禁止されており、農地転用許可を受ける必要があります。
行政書士などの専門家に頼むのが一般的ではありますが、もちろんご自身で申請することの可能です。
今回は農地転用をご自身で申請する場合に押さえておくべきポイントを解説していきます。
結論:農地転用許可申請のポイントがわかります
Point1:申請したい土地の区域を確認
ポイント:市街化区域内かそれ以外か
市街化区域
市街化区域は、市街化を推進している地域であり、住宅街や商業施設などが存在する地域、または概ね10年以内に市街化が進められる区域を指します。
この市街化区域内の農地については、事前に農業委員会に届け出を行うことで農地転用許可が不要となります。
一方、市街化区域外には市街化調整区域や非線引区域があります。
市街化調整区域
市街化調整区域は市街化を極力しない地域であり、ここに属する農地は例外を除き、農地転用許可申請が必要です。
また、都市計画法29条と35条の適用も受けます。
※農地転用面積が4haを超える場合は、農林水産大臣との協議が必要になります
非線引区域
非線引き区域は、都市計画区域の中の市街化区域、市街化調整区域のどちらにも属さない地域であり、この地域に属する農地も原則として農地転用許可申請が必要となります。
また、3,000㎡以上の場合は都市計画法第29条の開発行為の許可が必要です。
※農地転用面積が4haを超える場合は、農林水産大臣との協議が必要になります。
準都市計画区域
準都市計画区域は、都市計画区域外の区域において、市街化が進行すると見込まれる場合に、土地利用を規制するために設ける区域。都道府県が指定する。
この地域に属する農地も原則として農地転用許可申請が必要となります。
また、3,000㎡以上の場合は都市計画法第29条の開発行為の許可が必要です。
都市計画区域外
都市計画区域外の場合も農地転用許可が必要ですが、開発区域が10,000㎡以上の場合には都市計画法第29条の開発行為の許可が必要となります。
※農地転用面積が4haを超える場合は、農林水産大臣との協議が必要になります。
都市計画区域外は都市にする予定のない山林などを言います。
ちなみに・・・都市計画区域の調べ方
インターネットの検索エンジンで調べたい市区町村の名前と用途地域、もしくは都市計画図と検索すれば閲覧できます。
紙の図面を確認したい場合は、各自治体の都市計画課など、担当課の窓口で閲覧や購入ができる場合があります。
用途地域は色分けで表示されており、自治体によって定義が異なる場合もありますが、おおむね見方は変わりません。
まとめ
市街化区域の農地の場合
市町村の農業委員会に事前届出でOK
市街化区域以外の農地の場合
市町村の農業委員会の許可が必要
Point2:農地区分に関して確認する
農地は農地の位置、自然条件、都市環境等により5種類の農地区分に分けられます。
それぞれの農地区分によって農地転用許可方針は異なってきます。
農地区分の種類
農振農用地区域内農地
農振法に基づき市町村が定める農業振興地域整備計画において、農振農用地区域とされた区域内の農地。
【農地転用許可方針】 原則不許可。(転用する場合、一時的な利用等を除き、原則として農振農用地から外す手続が必要となります。)甲種農地
市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地。
- 集団的(おおむね10ヘクタール以上)に存在する農地で、高性能な農業機械による営農に適している。
- 農業公共投資(土地改良事業等)から8年以内である。
【農地転用許可方針】 原則不許可。(例外許可がある。)
第1種農地
良好な営農条件を備えている農地。
- 集団的(おおむね10ヘクタール以上)に存在する。
- 農業公共投資(土地改良事業等)の対象である。
- 高い生産力が認められる。
【農地転用許可方針】 原則不許可。(例外許可がある。)
第2種農地
「市街化の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地」に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で、農用地区域内にある農地以外の甲種、第1種農地及び第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地。
- 街路が普遍的に配置されている地域内にある。
- 市街化の傾向が著しい区域に近接する区域内になる農地の区域で、その規模が10ヘクタール未満である。
- 駅、市町村役場等の公共施設から近距離(500メートル以内)にある地域内にある。
【農地転用許可方針】 申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより、当該申請に係る事業の目的を達成できる(代替地がある)と認められる場合には、原則として許可することはできない。
第3種農地
市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地。
- 上水道管、下水道管、ガス管のうち2つ以上が埋設された道路の沿道の区域であって、おおむね500メートル以内に2つ以上の教育施設、医療施設等の公共公益施設がある。
- 駅、市町村役場等の公共施設から至近距離(300メートル以内)にある地域内にある。
- 都市計画法上の用途地域が定められている区域内にある。
- 土地区画整理事業の施行区域にある。
- 街区の面積に占める宅地化率40パーセント以上の区画内にある。
- 住宅や事業施設、公共施設等が連たんしている区域内にある。
【農地転用許可方針】 原則許可。
熊谷市HPより引用
農地を宅地に転用する場合、第3種農地に関しては原則として許可が得られます。
一方、第2種農地では、第3種農地では住宅建設の目的を達成できない場合に限り、許可が与えられることになります。
自身が転用を考えている農地がどの農地区分になるのか確認が必要です。
Point3:転用者が誰かを確認
転用者が誰かによって、申請する許可や届出が変わってきます。
農地法許可(届出)の種類は下記のとおりです。
農地法許可(届出)の種類
◯農地法3条許可 権利移動
農地を農地のまま、採草牧草地は農地またはそのまま利用する
所有権の移転や地上権・賃借権等の設定または移転をする
申請先:農業委員会(事務局)
◯農地法4条許可 転用
農地を農地以外のものに変える場合
農地を採草牧草地に変える場合
採草放牧地から他のものに変える場合は対象外
申請先:農業委員会(事務局)を経由し、都道府県知事
◯農地法5条許可 転用目的権利移動
・転用後、所有権の移転や地上権・賃借権等の設定・移転をする場合
申請先:農業委員会(事務局)を経由し、都道府県知事
上記の申請や届出は、誰が申請するかを考えるとわかりやすいです。
農地の所有者が転用転用する場合
→農地法第4条許可(又は届出)
農地の所有者以外の人が転用する場合
→農地法第5条許可(又は届出)
ポイント:5条許可は譲渡人と譲受人の両方で申請
5条許可の転用目的権利移動は、旧所有者と新所有者の双方で申請をします。
ポイント:申請先は4条・5条いずれも農業委員会(事務局)
4条許可・5条許可申請は、農地転用許可又は届出は農地が存在する市町村の農業委員会を経由し、都道府県知事に対して行いますが、基本市町村にある農業委員会事務局に対して行います。
農業委員会事務局は農業委員会に代わり、諸手続きの事務を執り行い、申請者と農業員会とのつなぎ役を行ってくれる部署となります。
申請が農業委員会事務局で受理されると、農業委員会総会で審議されます。
審議の結果、農地転用が許可される場合、都道府県に意見付きで送達されます。
都道府県が審査し問題がないと判断されたら、許可が与えられ、農業委員会事務局を通じて許可証が交付されます。
Point4:申請期間に関して確認する
ポイント:申請受付期間が決まっている
農地転用許可申請は1か月のうちの1週間程度しか受け付けてもらえません。
例えば、福岡市内の場合、
市街化区域以外の区域 (市街化調整区域,小呂島,玄界島) の農地の転用許可申請は,毎月20日に締め切り,翌月10日前後に開催する農業委員会(総会)で審議し,意見書を市長に送付します。
ただし,転用面積が3,000平方メートルを超える農地等は,県農業委員会ネットワーク機構(県農業会議。以下,「農業会議」という。)に意見を聴いたうえで,意見書を市長に送付します。
福岡市役所HPより抜粋
これら申請受付期間に関しては、各市町村のHPなどで確認できます。
受付期間のことも考えた上で、いつまでに許可が必要かなど逆算する必要がありますので注意しましょう。
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